霊仙寺

＜沿革略記＞
飛鳥時代末、和銅２年（709）元明天皇より命を受けた湛誉上人によって開山されました。まず、背振山中腹に誉朗寺が建立され、次第に伽藍が整備され「霊仙寺」と称するようになります。
この地を中宮と呼び、山頂に東門寺を建立して上宮と呼び、山麓に積翠寺を建立して下宮と呼びました。この三箇所を総称して『背振山』と称します。
「背振千坊」と呼ばれるほどの僧坊が立ち並び隆盛を極めましたが、数々の戦乱に巻き込まれて戦国時代には荒廃してしまいます。
江戸時代初期、鍋島直茂公の助力によって、背振一山の形態は復興され、この時に下宮の積翠寺を修学院と改称し、背振山の中心は下宮へと移行していきます。
明治時代になり廃仏毀釈・神仏分離が全国的に広がるなか、霊仙寺に最後まで残った順信和尚は、下宮の修学院へと下り、修学院から霊仙寺を兼務することとなり、現在に至ります。
現在、霊仙寺に唯一残る建物は『乙護法堂』のみで、文化財として保護されています。

＜山岳信仰＞
背振山の上宮には「辨財天」、中宮には「乙護法善神」、下宮には「徳善大王」とそれぞれ護法神がお祀りされています。形態は変容しましたが、神仏習合の名残りは脈々と現在まで護り継がれています。

＜トピックス＞
【性空上人】
天暦元年（947）より１９年間、背振山に住して坊舎を再建するなど、多くの功績を残された背振山中興。のちに、書写山へ移り「圓教寺」を開山された高僧である。
【栄西禅師】
建久２年（1191）中国（宋）より「臨済禅」と「茶の種」を持ち帰り、その種を霊仙寺の岩上坊（石上坊）に播き、茶樹の栽培を行う。この種を起源として茶樹栽培が全国へと広がる。
『茶樹栽培発祥地』と呼ばれる由縁である。