多田寺

石照山多田寺は霊峰多太ヶ岳とともに役の行者神変大菩薩の開くところにして山岳宗教若狭修験の根本道場である。当山の開創は天平勝宝元年(749)今を去る1257有余年前である。開基は勝行上人で、上人は多田が岳に数百日篭り、行、満ちて法力を得、霊威を感得、薬師如来、日光・月光両大菩薩、四大天王、十二神将を安置奉、済世利民に奪闘・庶民の治病、効験大にして、事、天聞に達し人皇46代孝謙天皇の眼病を祈願したところすみやかに快癒され、依って山林と田畑を御奇進くだされ「石照山」の山号と「医王閣」の勅額を賜わる。勝行上人は天皇はじめ地域社会への功績により、天平宝字6年7月29日から宝亀3年1月23日(762～772)の10年間、地方無名の一修行僧から仏教都奈良の東大寺に迎えられ栄進されている。その証明は「正倉院文書」に、東大寺史料名「本三綱目代僧勝行」の署名が18項目に列記されている。多田寺は、その後一層世に知られ「奈良の薬師寺」「出雲の一畑薬師」「若狭の多田薬師」と、その頃から日本三大薬師と謳われるようになった。